10|180905|札幌

夕刻。直行便で新千歳空港に到着。

 

台風21号の影響で札幌までの電車が運休している様子。空港バスのチケットを求め、長蛇の列ができている。ひとまず最後尾に並ぶ。このままだとホテルのチェックインは深夜を過ぎるかもしれない。移動の疲れで数日何もできなくなってしまうだろう。虚弱体質とまでは言わないが、体力に自信があるほうではない。方針転換。空港内で地元のラーメンを食べ、どうにかこうにか空港を脱出する。

 

深夜3時過ぎ。大きく揺れている。南無阿弥陀仏。布団を頭からかぶり、無事無難を祈る。まだ揺れている。妻と娘の顔が頭をよぎる。もうなるようになるしかないと観念する。ようやく揺れが収まってくる。館内放送が流れる。当ホテルは地震に対応できる構造になっていますので安心してください。エレベーターは停止していますのでご了承ください。なるほど。

 

テレビをつけると緊急速報をやっている。やはり北海道で強い地震があった様子。数分すると唐突に画面が消えた。部屋の非常用ランプがともる。トイレの電気もつかない。おそらくホテル全体が停電したのだろう。困ったことになりそうだ。明日の約束はどうなるだろうか。携帯の電源を入れて状況を確認する。震度6強とのこと。まだ外は暗い。サイレンの音が響いている。不安の気配が満ちている。これ以上のことが起こらないように祈ることしかできない。

 

妻に無事を伝えるためにLINEでメッセージを送る。おそらく彼女たちはスヤスヤと眠っているだろう。北海道に到着した初日に、ぼくが強い地震に遭っているなんて思うわけがない。ぼくもそんなことは思っていなかった。そもそもあれだけニュースにもなっていた台風21号の影響ですら想定していなかったのだ。

 

今もホテルは停電している。すでに新しい1日が始まっており、ぼくは目的地に向かわなければならない。