59|181024|札幌

 朝食後に雨上がりの公園へ。木々の葉が朝の光に照らされて赤に朱に黄に緑にあまりにも美しい。しばらくぼぉと見惚れてしまった。未明から雨が降っていたから雨露に光が反射しているのだろう。写真に収めようと思ったが手ぶらだった。部屋に携帯を取りに戻る10分ほどの間に、今の美しい風景は消えてなくなっているかもしれない。そう思いつつも急ぎ足で部屋に戻る。

 

 この木々の美しさに限ったことではない。ある瞬間を逃してしまえば二度と出会えないものばかりにぼくたちは囲まれているのかもしれない。そんなことを考えながら公園に戻ると、やはりあの瞬間とは何かが変わってしまっていた。ぼくは代わって登場した少し穏やかな木々の表情を収めることにする。しかしそれはそれとして美しかった。

 

 延泊したので部屋が変わって、上のほうの階に移ることになった。すごい。窓から公園が真下に見下ろせる。紅葉も含めた庭園の姿があまりにも美しい。時間とともに陽の差し入れる角度が変わり、公園はその雰囲気を穏やかに変えていった。ぼくは時とともに遷る公園の景色を何度もカメラで収めた。

 

 夜は音楽堂でのピアノリサイタル。どうやら世界的に著名なピアニストだったらしい。隣人に話しかけると彼女は函館からわざわざ来たとのこと。東京や大阪でのチケットはすでに完売しているらしい。

 会場にはドレスなど美しく着飾った人がたくさんいた。見るからにまだ小学生の子や、中高生と思しき少年少女も来ていた。ぼくは今日がピアノリサイタル初体験だったのだが、小学生あるいは中高生の時期にこのような場と接点をもっていたら、何かが今とは違っていたのだろうか?

 

 鉛筆の持ちすぎで右手親指の痺れがおさまらない。ぼくの持ち方が悪いのだろうか。それとも長時間作業がもたらす不可抗力なのだろうか。明日からついに札幌を離れて、函館方面へと向かう。