63|181028|大沼公園

 朝目覚めて、決めたことを決めたようにやり、朝食を食べ、朝刊を読み、仕事にとりかかる。夕刻までに風呂に入り、食事をして、やるべきことを幾つかやり終えると、すでに予定の就寝時刻は過ぎている。

 

 30代も半ばを過ぎる頃までは、睡眠時間がどれほど短くても仕事が目の前に来ればどれだけでも集中し続けられると思っていた。

 しかし、最近はどうもそういうわけにはいかない。夜更かしは確実に支障を来たす。気にかける部下も同僚もなく、多くのことに同時並行で取り組んでいるわけでもないが、一日は今日もあっという間に過ぎていく。

 

 過労がたたり、何度か入院したことがあった。緊急対応が済んで身体がある程度落ち着きさえすれば、入院生活はこの上なく快適だった。

 医師や看護師の訪問、食事が準備される時間帯は一定で、それさえ守っていれば他の時間帯は自分の好きなように使うことができた。決められたリズムに則ったスケジューリングはいつもと比べて随分気楽だったし、必要あらばオンライン会議だってできるのだから、何のストレスもなかった。

 

 今ぼくは自らの意思により、自分の身体を少し特殊な環境に置いている。かつて何度か体験してきた入院生活は不慮の事態から始まったものではあるが、今の生活と何かしらの共通項を感じる。もちろん異なる点もあるように思う。

 

 意思による選択なのか、それとも不慮に身体が起こした選択なのかという違いはあるだろう。あるいは空気の流れも違う気がする。入院生活をしていたときにはぼくの周りには空気が流れていたが、今の生活でその流れを感じとることはできない。

 もしかしたら、今は凪いでいるのかもしれない。凪に身を置いて運動するために、これまでとは違う筋肉や神経細胞を使っているのかもしれない。何をしたというわけではないのだが、一日を終える頃には随分とくたびれてしまっている。

 

 そしてぼくはベッドに横たわり、うつらうつらと今日一日のことを思いながら、うとうとと安堵の波に呑まれていく。