150|190123|広島

 ようやく物語が動き始めた、かもしれない。

 

 同じところをグルグル回っているんじゃないか?! 疑心暗鬼になりながらも、目の前のことに向き合い続けるしか手がなかった。いつまで経っても、どれだけやっても、出口はその気配すら見せない。タイムリミットはとうに過ぎていた。焦りも出てきていた。いつまでもこれをやり続けるわけにもいかない。とは言え、これをやりきらずに次へと進めるわけもない。

 

 出口が見えたわけではないが、仄かな光は差してきたかもしれない。どちらにせよ後には戻れない。戻りたくもない。どれだけ苦しかろうと前に進んでいくしかない。

 

 ぼくはそれなりに追い詰められているのだろう。おそらく。しかし自分がどこまで追い詰められているのかすら分からない。いずれにせよここから逃げるわけにはいかない。しかし向き合うと決めたところで、やすやす前に進んでいけるわけでもない。挫けないように踏ん張って、じわじわ匍匐前進ででも行きつくところまで行くしかない。

 

 大学を卒業してすぐに沖縄に移住した。その数年後に会社を始めた。そのおかげでお金では買えない経験をさせてきてもらった。

 

 今のぼくは、これまで最大にインパクトのある時間を過ごしているのかもしれない。少なくとも自らを以前より理解するようになった。自分勝手、傲慢、醜悪で、愚かさを伴った自分。自分のことをわずかながらでもよく認識できるようになったのは革新的な一歩であったと思う。そうした認識の前提に立って、自らがどう生きるかをぼくは選択できるようになったのだ。

 

 広島は今日まで。明日家族のいる沖縄に帰る。

 

 なんだかんだ言いながらも、ぼくとともに生きることを選んでくれている彼女たち。その存在が自らを確かに支えてくれていると、ようやくぼくは知った。ぼくはどこまでも阿呆だが、どこまでも果報者である。