先日の投稿から、2週間が経って

 

先日の投稿から2週間が経ちました。

 

さまざまにメッセージをいただき、ありがとうございました。厳しいお言葉も含めて、とても励まされました。年齢を重ねれば重ねるほど、人見知りがひどくなってきたように思います。それでも人間というものに興味が尽きず、自身と他者との関係に恐れと同時に喜びを感じていることを再発見しました。

 

 

 

過去を消化できないながらも徐々に正気を取り戻すなかで、役員と社員が全員去り、事務所を解体し、ゼロ地点に立ち戻って再始動しようとしている現状を共有できない自分自身に葛藤し、焦りや苛立ちを感じてきました。ルーツの代表取締役として、40を過ぎた一人の人間として、目の前に見えている壁を突破できない未熟さや弱さを感じながら、どうしても動けずにいました。

 

とりわけSNSという場で不特定多数にさらすことに対する恐れや抵抗感は強力でした。自らの生き恥をさらし、ある時期をともに生きた同僚・関係者への複雑な感情を醜悪にさらし、結果として自らの未熟を重ねて露呈してしまう事態になることを恐れました。そして昨年の出来事が起こるまでもなく、かねてより自らの奥深くに巣喰っていた他者も含めた人間そのもの・世界そのものに対する不信感や疎外感はその恐れを助長し、現実に存在すらしていない亡霊をますます恐れ、ぼくは内に内にと引きこもっていきました。

 

正気を取り戻しながらも怖ろしい亡霊とも共生するなか、誕生日にたくさんの方からメッセージをいただき、この機を弾みになんとか自身を覆い包んでいる靄を突破したいと思いました。自らの内側にある真実を語れないこと・さらせないことは、真実を語ること・さらすこととは次元の異なる意味で、今津にとって大きなストレスでした。闇からの出口をほのかに感じられるところまでは恢復していましたが、この局面を展開するためには、自らの真実をささやかであれ誠実に語ることが必要だと気づいてもいました。そして、自らの真実に誠実であるかどうか推敲に推敲を重ね、なんとか出したのが先日の投稿でした。

 

 

 

誕生日の数日前から高熱と喘息症状が続き、投稿に至った当日も39度を超える熱がありました。休息と栄養を充分にとり、あとは厚着してダラダラに汗をかけば、そのうち熱はおさまるだろうとたかをくくっていたのですが、5日経っても10日経っても熱は一向に下がってこない。

 

水以外はほとんど何も摂らず、仕事も迷惑をかけない最小限にセーブし、ひたすら身体を休めようとしていたこともあって、ぼくの意思や思考は実にクリアでした。結果がどう出ようとも内実をさらして今の局面を展開させようと試みる今津と、そうはさせまいと留まるように抵抗するもう一人の今津との激しい葛藤の顕れと認識し、ますます目の前に訪れたこの機を逃すわけにはいかないと強く思いました。

 

 

 

先日の投稿を機に、「何か」が変わったように思います。

 

 

 

この1年余り、沖縄を拠点にして重ねてきた年月や経験にこだわらず、それら全てをいったん手放し、拠点や活動エリアも白紙にし、あらゆることをゼロベースにして、その地点から未来構想を描き、スローペースにトライ&エラーしてきたつもりでした。

 

けれど、今振り返れば、ゼロベースなんてとんでもなくて、まさに過去に囚われていたように思います。昨年春の出来事を受け入れることを心の奥底では拒絶し、そこに流れた時間、そこで得た経験を自身からなんとか切り離そうとしていた。なんとか目をそらし、それを見ないようにしていた。それ以上もがいてもどうなるわけでもないと認識していたし、もがくのはみっともないと思っていたところもあります。

 

そして、過去を諦めて、それまでとは次元の違うアプローチをとっているつもりでしたが、畢竟過去と同じパタンのなかでもがいていたのだと思います。

 

一連の出来事はとうに過去へと過ぎ去り、もう終わったと思っていました。自身のなかでも整理して終わらせたと思っていた。けれど、実は何ひとつとして終わっていなかったし、終わらせる必要すらなかったのかもしれない。まだ雲をつかむような感覚しか手元にはないのですが、そんな方向のことが少しずつ輪郭になりつつあります。

 

 

 

先日の投稿する機会は、内なる真実に誠実に向き合うための天恵だったのかもしれません。

 

あの日から、あの醜悪で二度と味わいたくなかった地獄絵図が、心の奥底では抹消してしまいたいと思っていた過去が、自身にとってかけがえのない得難い経験として、光のエネルギーをまとって今に蘇ってきたような感覚があります。

 

考えようによっては、この大きな喪失を得るためのこの20年だったのかもしれない。沖縄で重ねてきた時間と結果と経験とを自らの人生として引き受けて生きていく、そのとば口に立てたのかもしれません。何かが終わり何かを始めていく、そんな地平にやっとたどり着けたような感じがします。

 

これが今のぼくのいるところです。かなり感覚的で、抽象的・観念的なイメージでしかつかめてはいませんが、そこには何かしらの手応えと言うか、気配のようなものを感じます。ぼくは、これからの人生で、その気配を具象化していきたいと思います。

 

 

 

プライドが高く、エゴがどうしようもなく強く、見栄っ張りで、頑固でややこしい男。あくまで自己評価ですが、自己評価だけにそんなにハズれてはいないように思います。そんな面倒くさい自分を持て余しながらも、誠実により良く生きたいと願っている自分を育てながら、これまでもどうにかこうにか付き合ってきました。

 

これからは、もう少しだけ、素直に、自然に生きてみたい。アホと言われても、やっぱり自分の心に耳を澄ませて、誠実にまっすぐに生きていきたい。一期一会に全身全霊を捧げ、また新しく傷をつくったとしても、少しずつでもかしこく、やさしく強く生きていきたい。できるならば、あなたに出会えて良かったという時を重ね、死んでいきたい。そして、もう少しやわらかくなって、自分を心底好きになりたい。

 

 

 

ああ、本当にここに戻ってこれてよかったなぁ、と今は思っています。

 

 

 

ロシアWサッカー日本代表1次リーグ最終戦のキックオフ前から書き始めましたが、やはり、投稿まで時間がかかりました。

 

ここ数日、河合隼雄先生、灰谷健次郎氏、フランクルなど、20歳の頃に出会い人生を変えてくれた作家のことが気になり始めるなど、新しい流れはもう始まっているようです。そして、ぼくはどこにいくのだろうか。

 

今後しばらくは、自身の変化や感じていることについて、随時この場で共有していこうと思います。他者と共有するに足るほど自身の内実を誠実に語りうることは、ぼくに大いなる安定と幸せをもたらしてくれます。

 

今日もまた台風です。

 

 

 

201871日 台風の夜に

今津新之助