45|181010|大阪

 平々凡々と毎日が過ぎていく。穏やかで単調な日々。過剰を求めるぼくにとって、多少の物足りなさもあり、退屈さを感じ始めているのも事実である。

 

 勇気を出して新しい世界に足を踏み入れてはみたものの、そこはあまりに自由で、ぼくはその自由さを持て余している。穏やかな充足感で精神を満たすこともできれば、刺激的な快楽で感情や肉体を悦ばせることもできる。それらはぼくの選択に委ねられている。

 

 快楽の世界からの誘惑は甘く響き、ぼくはその官能的な声を無視することができない。一度その世界に浸れば、ぼくは溺れてしまうかもしれない。ここに戻ってこれないかもしれない。そう怯えながらも、大抵においては意志薄弱に押し流されてゆく。結果、別次元にある穏やかで明瞭で中性的な世界は遠ざかってゆく。我に返ったときにはその入口すら見失ってしまっている。せっかく手にした入場切符を握りしめ、ぼくは慌ててその入口を探す。

 

 潮目はすでに変わってしまったかもしれない。時はぼくを待ってはくれない。ぼくは目の前にあった好機をとっくに逃してしまったのかもしれない。だからと言って、諦めることもできない。もしかしたらまだ間に合うのかもしれない。仮に間に合わないとしても、気を取り直して、あるいは開き直って、前を向いて歩き続けるしかない。

 

 ぼくは意志薄弱で、快楽や惰性に流されやすい。退屈で単調なリズムを守ることは、自分自身に対するささやかな抵抗である。