19|180914|沖縄

 仕事らしい仕事を、久しぶりにした気がする。

 

 しかし、とりあえず「仕事らしい仕事」とは表現したものの、ぼくにとってそれって一体なんなのだろう。すぐに答えが出ないまま、うろうろと思索する。外の世界をつくることなのかもしれないと思い当たる。それに加えて金銭としての対価を伴っているもの、それが今ぼくが認識している「仕事らしい仕事」のようだ。

 

 沖縄に移住し、会社をはじめ、外をつくることにエネルギーを投じてきた。そもそものぼくの関心事は人間そのものやその心にあった。しかし、そのテーマを現実的に探求するなかで、人間が環境と関わり合い相互作用しながら学び変化していることに程なく気づく。その後は、人間が生活する環境をどのようにつくるのか、つくれるのかということに意識の大半を向けてきたように思う。

 

 これからは、人間やその心に意識の焦点をあてて、その可能性が開花するような場をつくりだしていきたいと思っている。これまでの経験やそのプロセスで身につけてきたことは、必要があればぼくの内側から立ち上がってくるであろう。

 

 

 ここまで書いてきて、あれ?!と戸惑う。人間の可能性を開花するって、これまで大切にしたきたこと、これまで掲げてきたことと同じじゃないかしら。まぁもしかしたら何も変わらないのかもしれない。何かが変わるのかもしれない。この旅は始まったばかり、焦らずしばらく様子を見ておこうと思う。

 

 

 「ぼくにとって測量するっていうのは、仕事というよりはフィールドワークなんです。作業服って動きにくいでしょ。だから身軽なアウトドアの服を着てるんです。野外に出るのが楽しいかって? はい、もちろんです。精神的にも肉体的にも解放される感じですかね。山のなかに入って写真を撮るとかって、かっこいいんっすよ。ぼく、遊びのように仕事に取り組んでいきたいんです」

 

 寡黙で誠実な友が、デザイナーの前でぽつぽつと語る。山のなかに入って写真を撮るのって、かっこいいんだ、そうなんだ。その刹那、情景が浮かび彼がキラッと輝いた気がした。思いを叶えられたらと願いながら、ぼくは隣に座っていた。